はい!てんぷらちゃん

ゲームで義務教育を終えた男がスマブラや学問を通じて考えたことを殴り書きするブログ

ダブルエリミネーショントーナメント進行例、考え方とコツ in #スマパ【ユーザー主導ゲーム大会運営向け記事】

こんにちは、てんぷらです。

 

「気圧が低いと頭が痛い」という感覚がマジで分からないのですが、最近分かってきました。皆様いかがお過ごしでしょうか。

 

私は普段、スマブラで32人のダブルエリミネーショントーナメントを進行しています。
だいたい週0~2回のペースで回しています。
なんどもトーナメントを回していると、だんだん効率化されてくるんですよね。

今日はそんな私の経験を共有します。
あなたがトーナメントを管理するときのヒントになれば嬉しく思います。

 

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この記事の目的

 

 

※とりあえず書き上げることを一番に書いているので、図等は後ほど気が向いたら追加します。字ばっかりですみません。

 

用語のおさらい

ダブルエリミネーション
敗者復活戦のあるトーナメント形式です。2回負けると敗退となります。英語表記では "Double (2回) Elimination (排除、敗退)" といい、 "DE" と略されることもあります。"Illumination (電飾)" ではありません。

 

《勝者側・敗者側トーナメント》
1回も負けてない人のトーナメントと、敗者復活戦トーナメントをそれぞれ勝者側・敗者側と言います。基本的に最初は全員勝者側から始まり、1回負けると敗者側に「落ちる」と言います。勝者側(敗者側)N回戦はWRN(LRN)と表したりもします。

 

DQ
失格のこと。DisQualifiedの略です。文脈によっては不戦敗と同義になることもあります。この記事の本筋には関係ないですが、頻出語です。勇者参戦とは関係ありません。

 

《配信台》
配信用の試合をする台です。

 

《フリー台》
フリー対戦(野良試合)をするための台です。トーナメントが進行するに従ってトーナメント進行に必要な台は減っていくので、余った台はフリー台として開放します。フリー台の多さは参加者のイベント満足度にたぶんけっこう影響します。

 

《ブラケット》

トーナメント表のことです。

こいつ(括弧)は英語でbracketと呼ばれる記号で、形が似ているからトーナメント表もブラケットと呼ばれているものだと思い込んでいます。実際は知らん。

 

《ステーション番号》

台番号、テレビ番号、モニター番号のことです。

 

 

例:スマパ!

スマパ!は、毎週月曜日にRedBullGamingSphereTokyoで開催されるスマブラSPの非公式ユーザー大会です。

 

twitter.com

大会概要

smash.ggとは、Web上のトーナメント管理サービスです。

 

smash.gg

 

進行における優先順位

  1. トーナメントを10時までに終わらせる
  2. 勝者側の試合をより多く配信する
  3. フリー台をたくさん作る

 

各ラウンドの進行順と所要時間

ターン数. ラウンド名 (プレイヤー数、稼働台数)

  1. WR1 (32人、16台)
  2.  WR2 + LR1 (16+16人、16台)
  3. WR3の半分 + LR2 (4+16人、10台)
  4. WR3の半分 + LR3 (4+8人、6台)
  5. WR4の片方 + LR4 (2+8人、5台)
  6. WR4の片方 + LR5 (2+4人、3台)
  7. WR5 + LR6 (2+4人、3台)
  8. LR7 (2人、1台)
  9. LF8 (2人、1台)
  10. GF (2人、1台)
  11. GF2 (2人、1台)

11ターン * 15分 = 2時間45分

※実際はこれより多く配信したり、試合時間が短かったりして予定通りにならないことがほとんどです。

 

進行の手順とやりとりの内容

  1. 両選手を呼び出します。「イイダ vs スギヤマ 2番台で試合です。受付までお越しください。」
  2. 番号札を渡し、所定の台で対戦を始めてもらいます。
  3. smash.gg上で《試合開始》を押します。
  4. 勝者は番号札を持って結果報告に来ます。「スギヤマ 2対1で勝ちです」
  5. 結果をsmash.ggに入力します。
  6. 次の対戦相手が出揃ったら1に戻ります。

※《試合開始》を押す理由:呼び出し忘れ、二回呼び出してしまうことを防ぐため。

※番号札を渡す理由:ある台が使用中かどうかを、番号札がないことで確かめられるから。

 

事前準備

smash.gg 上での準備です。

 

トーナメントのシーディングが終わった状態(=トーナメント表ができた状態)で、勝者側一回戦のみステーション設定を行います。

 

つまり、トーナメント表を見れば自分が何番台で対戦すればいいのかを分かる状態にするということです。

 

これにより、勝者側1回戦に限っては呼び出しの手間を省くことができます。


二回戦以降は空いた台に試合をその都度入れていく形になるので、事前にステーション設定は行いません。

 

実際の進行のイメージ

ここからは時系列順、ライブ感マシマシの文体で書いていこうと思います。

 

ぜひ challonge等のトーナメント管理ツールで32人トーナメントを作成し、適当に操作しながら読んでいただけるとイメージを掴みやすいかと思われます。

 

「ちょっとそこまでは」って方のために過去のブラケットを置いておきます。

smash.gg

 

 

18:55

フリー対戦終了のアナウンスをし、開会の挨拶と会場の説明を行います。

 

 

19:00

トーナメントURLをツイート、ブラケットを会場のモニタに表示します。

第1回戦の台番号はブラケット上に載っているので、呼び出しを行わずブラケットを参照して選手にセルフサービスで試合に入ってもらいます。

 

「対戦相手が見つからない人はスタッフまでお声掛け下さい」とアナウンスし、マッチングがうまくいかない場合のサポートをします。

そもそも相手が会場に来ていない場合は、試合開始から15分程度経って来なければDQ扱いにします。遅れて来る場合は、初戦を不戦敗として敗者側1回戦からのスタートとする場合もあります。

 

 

19:15

第1回戦を終えた選手たちが一斉に結果報告へと帰って来ます。

 

「スギヤマ 2対1で勝ちです」といった報告を受け取り、smash.gg上に入力していきます。

 

次(勝者側2回戦 or 敗者側1回戦)の対戦相手が出揃ったところから、すぐに選手を呼び出して試合を入れていきます。
このとき、敗者側を優先して進行します。
これはダブルエリミネーショントーナメント進行の基本中の基本です。
敗者側トーナメントの方が試合数が多く、トーナメント全体の所用時間に関わるからです。

 

とはいえ、出揃ったところから次々と試合を入れていきます。
このとき、なるべく同じ選手が前の台と同じところに誘導するのがスムーズな運営のコツです。
コントローラやキーコンフィグの設定を使い回すことができ、時間短縮になるからです。

 

配信台の試合が終わりそうな時は、勝者側2回戦の試合を呼び出さずに一時的にキープし、試合を継ぎ目なく配信し続けることを狙うこともあります。
敗者側はとにかく進行優先なので基本的にキープしません。

 

 

19:30

勝者側2回戦と敗者側1回戦を終えた選手たちが結果報告をしに帰って来ます。

 

勝者側3回戦と敗者側2回戦の試合を進行していきます。

 

ここまで来ると、勝者側の進行には少し余裕が出て来ます。
勝者側の試合はなるべく配信したいので、全試合いっぺんに進行せず、複数回に分けて進行したいです。
結論から言うと、勝者側3回戦は4試合中2試合配信します。
どういう判断があったのかを以下に説明します。
なお、敗者側はとにかく進行優先で呼び出します。

 

勝者側を負けた時、敗者側のどこに落ちるかが判断の根拠です。
勝者側3回戦を負けた選手は、敗者側4回戦に落ちます。
トーナメント表を見れば、そのようになっていることが分かると思います。
つまり、敗者側を滞りなく進行するためには、勝者側3回戦が終わったタイミングで敗者側3回戦が終わっていればいいのです。

 

それなので勝者側3回戦を前後半の二つに分けて進行すると、

  1. 勝者側3回戦の前半と敗者側2回戦が同時に行われ、
  2. 勝者側3回戦の後半と敗者側3回戦が同時に行われ、
  3. ちょうど敗者側4回戦の選手が出揃う

という状況を作れます。

 

あくまでこれは「勝者側の試合をより多く配信したい」という狙いのもとに行なっていることなので、勝者側3回戦を全試合同時に進行してもトーナメントの進行上全く問題ありません。
また逆に、勝者側3回戦を全て配信しようとすると、敗者側3回戦を勝ち上がった選手が出揃った時点で勝者側3回戦の敗者が確定しておらず、敗者側の進行が遅れます。
繰り返しますが、敗者側はとにかく進行優先です。

 

さて、このターンではもう一つ考えるべきことがあります。
それは、フリー台の開放です。
このターンで使用する台数は、「勝者側2台 + 敗者側8台 = 10台」です。
つまり、16 - 10 = 6 で6台がフリー台になります。

 

フリー台は番号が大きいものから順に開放していくと分かりやすいため、勝者側3回戦及び敗者側2回戦の試合は若い番号の台で進行するとよいでしょう。

 

そうして11番台以降の台が空いてきたら、「11番台以降の台をフリー台として開放します」、あるいは「11番台以降の台で空いているところをフリー台として開放します」とアナウンスします。
実際には「13番台だけ試合が長引いてる!」といったことが起こるので、後者のようなアナウンスをすることが多いです。

 

 

19:45

勝者側3回戦の前半と敗者側2回戦を終えた選手たちが結果報告をしに帰って来ます。

 

勝者側3回戦の後半と敗者側3回戦の試合を進行していきます。

 

ここまでくるとトーナメントに残っているのが12人程度になり、だいぶ管理が簡単になってきます。
ここまでは結果入力と呼び出しとを2人以上のスタッフで分業しないと結構忙しかったのですが、ここからは1人でも余裕を持って回せる作業量になってきます。

 

敗者側トーナメントの人数が16人から8人へと変わったことで、再度フリー台開放のアナウンスをします。
「7番台以降で空いている台をフリー台として開放します。」

このタイミングで進行スタッフはお菓子を食べに言ったりするのですが、それはさておき。

 

このあたりで、大会の予想終了時刻を概算します。
必須事項ではないのですが、トラブル防止と安心のために行います。

 

計算方法は、残りの敗者側のラウンド数 * 15分(1試合あたりの所要時間)です。

 

勝者側の試合数はどうあがいても敗者側のそれを上回ることはないので、敗者側の試合数のみをカウントすれば十分です。

 

例えば、現在が敗者側3回戦の試合を全て入れ終わって5分ほど経過したタイミングだとしましょう。
残りのラウンドとしては、
LR4, LR5, LR6, LR7, LF, GF, GF2
の7つに現在進行中のLR3が残り10分程度で終わるとすれば、
15分 * 7 + 10分 = 115分
と計算でき、「あと2時間で終わるな」といった予想を立てられます。
実際は1試合に15分かからないことの方が多いですが、それでも巻く必要があれば巻いていきましょう。

 

 

20:00

ここから先はだいぶ進行に余裕があります。

 

勝者側の準決勝から決勝までは全て配信し、敗者側は対戦相手が揃い次第次々と進行していきます。

 

勝者側決勝が終わったら、次に入る敗者側の試合を配信台で行います。
敗者側はとにかく進行優先なので、勝者側決勝の次のために敗者側の試合をキープすることは基本的にしません。
しかし、時間に余裕があったり、タイミングが合えばキープすることもあります。

LR6(敗者側準々決勝)の試合は全部で2試合ありますが、時間に余裕があればここを両方配信することもあります。
その判断は大会の終了時刻の概算を根拠にしましょう。

 

この頃にはトーナメントで使用する台は2台程度にまで減っているので、ほとんどがフリー台となっています。

 

トーナメントは終盤に差し掛かり、進行スタッフもほとんど仕事がなくなるので、この頃はフリー対戦をしたり観戦をしたりしています。

 

 

最後に

お疲れ様でした。

ここまで読んでくださりありがとうございます。

 

もしあなたが今実際にトーナメント管理ツール(challonge, smash.gg)を使い、手を動かしながら読んでいたとすれば、本当にお疲れ様でしたと言いたいです。

アクティブラーニングというやつですな。

 

さて、最後にトーナメント管理に興味がある方向けに、ひとつ伝えたいことを述べて終わろうと思います。

 

もしあなたがトーナメント管理に慣れていない場合、今回の記事で挙げた全ての手順と判断をこなすのは難しいことかもしれません。難しくないかもしれませんが。

 

というのも、私は数をこなす中でだんだんとトーナメント管理の全体像が見えてきて、様々な判断や計算の工夫の必要性に気づき、少しずつ効率化させたという経験があるからです。

 

はじめのうちは、勝者側3回戦を2つに割ることなど考えもしなかったです。

 

ただ、

  1. トーナメントを10時までに終わらせる
  2. 勝者側の試合をより多く配信する
  3. フリー台をたくさん作る

という進行上の優先順位を定め、まずはとりあえず時間内に終わらせることだけを意識し、やっていくうちに細部を見る余裕が出て来たという経験がありました。

 

賢い人は初回から全てこなせてしまうでしょう。
自信のない人は、とりあえず抑えるべき最優先事項だけ意識することから始めてみてはいかがでしょうか。

 

それは大会によって異なると思います。
時間に余裕がある大会もあれば、配信に力を入れている大会もあるでしょう。
考えてみてください。

 

今回は32人トーナメントの例を挙げましたが、ここに述べた考え方はある程度規模が変わっても妥当するはずです。

 

 

 

改めて、読んでくださりありがとうございました。

何かわからないことがあれば、知っている範囲で力になりたいのでぜひリプライかDMで質問してください。

スマブラSP勢に限らず、誰でも聞いてください。

答えられるかはわかりませんが……

 

新しく大会運営に興味が湧いて何かしたい、smash,ggの使い方がわからない、大会の会場を探している、64人規模だったらどうすんの、などなどご質問、ご相談お待ちしてます。

 

 

 

スマブラコミュニティよ永遠なれ!

 

 

[2019/06/29]